フィルタープレスの教科書:03ろ布の特徴と選び方
この記事を読むとわかること
- ろ布の材質(ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル)の違いがわかる。
- ろ布の3要素(通気度、原糸の形状、織り方)がわかる。
- フィルタープレスのろ過において、最適なろ布の選び方がわかる。
フィルタープレスのろ過を成功させるには、ろ布の選び方も重要です。ろ布を形成している材質や網目の幅(=通気度)、原糸の形状や織り方も 考慮することで、ろ過漏れや目詰まりを防ぐことができます。当社のラボ機を使用したろ布の選定方法もご紹介しておりますので、 ろ過が上手くいかない方はぜひご覧ください!
ろ布の材質
フィルタープレスで使用するろ布は、主に、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルの3種類があります。 中でもポリプロピレンは、耐食性があり、比較的値段が安いため、一般的に広く使用されています。 ナイロンは、強度があるが酸に弱く、ポリエステルは耐熱性があるがアルカリに弱い特徴があります。
ろ布の3要素:通気度
1つ目の要素は、ろ液の通り抜けやすさを示す通気度です。
通気度(cm3/cm2・s)とは、1秒間に1cm2の面積を通り抜ける空気の体積を表す値です。 通気度が高いほどろ布の目は粗く、低いほどろ布の目は細かくなります。
ろ布の3要素:原糸の形状
2つ目の要素は、ろ布を形成する原糸の形状です。
モノフィラメントやスパンは性質に偏りがありますが、マルチフィラメントはまんべんなくカバーできる特徴があり、汎用性が高いろ布です。
ろ布の3要素:織り方
3つ目の要素は、ろ布の織り方です。
原糸の形状と同じように、平織と朱子織は性質に偏りがありますが、綾織は両方が悪いとされる性質をカバーできる特徴があります。また、集塵機フィルターで一般的に使用されています。
実践!最適なろ布選定:テスト
これまでご紹介したろ布の特徴の中でも、最適な通気度のろ布を選定する方法をご紹介します。 当社にフィルタープレスをご依頼いただく場合にも、実機試作前に同様の方法を行っております。
なお、今回使用したスラリーは、お客様の秘密情報の漏洩や不正利用を防ぐため、当社独自で作成したサンプル品です。
ラボ機テスト
今回は通気度の異なるろ布(A)~(C)を用意し、スラリー(粒子径D50=20~50μm)に最適なろ布を選定します。 通気度以外の条件(原糸の形状、ろ布の織り方)は同じものを使用し、3条件でラボ機のフィルタープレスを行いました。
実践!最適なろ布選定:結果
次のテスト結果より、今回のスラリーに最適なろ布は、ろ過漏れと目詰まりがしないろ布(B)です。
今回の内容をまとめたPDF資料はこちら >>>
当社ではフィルタープレス設備を複数備え、幅広い受託加工に柔軟に対応しております。
お客様のニーズに合わせて、フィルタープレスの前後工程(スラリー調製、脱水ケーキの乾燥等)を取り入れたワンストップ加工もお任せください!